シミは顔の印象を大きく変えてしまう可能性があります。顔のシミにはさまざまなタイプがありますが、正しい治療をすれば消えるものも少なくありません。また、日常的に対策をすればシミができにくくなる場合もあります。シミは放っておくとどんどん濃くなってしまうこともあるため、気になるシミができたときは早急な対策が重要です。シミを消す方法や予防方法にはどのようなものがあるのでしょうか? シミのタイプによって異なる方法を詳しく見てみましょう。目次顔にできるシミにはどんなタイプがある?顔は紫外線などによるさまざまなダメージを受けやすい部位です。肌は紫外線などのダメージを受けると、メラノサイトが活性化してメラニン色素の生成が促され、シミができやすい状態になります。顔のシミは老けた印象を与えてしまうことも多く、できれば解消したいものです。顔のシミにはいくつものタイプがあり、対策方法もタイプによって異なります。対策方法を知る前に、まずは顔にできやすいシミにはどのようなタイプがあるのか詳しく見てみましょう。老人性色素斑(日光黒子)老人色素斑は、「老人」という名称がついていますが、中年以降の方によく見られるシミの一つです。私たちにできるシミの90%以上は老人性色素斑とされています。老人性色素斑は褐色で丸く、大小さまざまな大きさのシミが散らばって生じるのが特徴です。正常な皮膚との境界は明らかで目立ちやすく、顔の見た目にも大きな影響を与えます。このタイプのシミは、紫外線を浴びやすい顔や手の甲などに多く見られます。顔の中では、頬の周囲など、出っ張ったパーツに多く見られるのも特徴です。一度発生すると年齢を重ねるごとに色が濃くなっていきます。発症の原因は紫外線によるダメージと考えられており、「日光黒子」とも呼ばれています。肝斑肝斑は、30代以上の女性によく見られるシミです。正常な皮膚との境界がはっきりとした小さな褐色のシミが、頬を中心に、左右対称に広がります。妊娠するとシミが目立ちやすくなり、発症には女性ホルモンバランスの変化が関与していると考えられています。一方で、夏に目立ちやすくなり、冬に薄くなるのも肝斑の特徴です。そのため、紫外線の影響も発症に関係しているとされています。ただし、肝斑と上述した老人性色素斑を合併しているケースも少なくありません。それぞれ対処法が異なるため、正しく区別するには医師の診断が必要です。そばかす(雀卵斑)そばかすは、3歳頃から現れ始め、思春期の頃に最も目立ちやすくなるシミです。直径が3mm程度の細かい褐色のシミが顔や首などに散らばるように現れます。思春期以降は、段々色が薄くなって自然と目立たなくなっていくのが一般的な経過です。そばかすは遺伝的な要因が大きいと考えられており、発症に関わる遺伝子の異常も発見されています。また、肝斑と同じく、そばかすは夏に目立ちやすくなり、冬に薄くなるのも特徴です。そのため、遺伝的な要因に加えて紫外線のダメージも発症の原因と考えられています。炎症後色素沈着炎症後色素沈着とは、肌にダメージや刺激が加わることが原因で引き起こされるシミです。肌は過度な刺激を受けると、奥にあるメラノサイトが肌を守るために活性化します。活性化したメラノサイトから多くの色素が作り出されて肌に溜まっていくため、シミができるのです。炎症後色素沈着は通常、時間が経過すれば少しずつ目立ちにくくなっていきます。しかし、消えていくまでの期間は数年かかることも少なくありません。ダメージの程度によっては自然に消えない場合もあります。顔のシミを消すための方法とは?4つの対処法顔のシミにはいくつものタイプがあり、それぞれ対処法は異なります。炎症後色素沈着は時間が経過すると自然と治る傾向がありますし、そばかすは年齢を重ねると目立ちにくくなります。しかし、多くのシミは一度できると自然に消えていくことはほとんどありません。通常のスキンケアだけでは不十分です。では、顔のシミを消すにはどのような方法があるのか詳しく見てみましょう。ピーリングピーリングは、古くなった肌の細胞を取り除き、肌の新陳代謝であるターンオーバーを促す治療のことです。肌は奥から新しい細胞が作られ、表面の古い細胞が押し出されて新しい細胞と入れ替わります。そのため、ケミカルピーリングで新しい細胞への入れ替わりが促されると、溜まったメラニン色素が排出されやすくなるのです。老人性色素斑、肝斑、そばかす、炎症性色素沈着に対して一定の効果があると考えられています。ケミカルピーリングで使用する薬にはいくつかの種類があります。シミのタイプによって異なりますが、主に使用される薬は以下の2つです。サリチル酸老人性色素斑、肝斑に使用されることがあります。サリチル酸は肌の表層を覆う角質を取り除く効果があり、肌の表層にあるシミに効果があるとされています。グリコール酸老人性色素沈着、肝斑、そばかす、炎症後色素沈着など多くのシミに効果的とされています。最も使用頻度が高い薬ですが、顔に使用する場合には濃度などに注意が必要です。また、ケミカルピーリングは一度の治療でシミを薄くなるということは、残念ながら期待できません。一般的には、5~10回ほど治療を繰り返し、1年ほどかけて徐々にシミを薄くしていきます。より早く効果を得るため、ケミカルピーリングとレーザー治療などを組み合わせて行うこともあります。レーザートーニングレーザートーニングは、シミのもとであるメラニン色素をレーザー光線で破壊する治療です。レーザートーニングは効果が実感できるまでの時間が早いですが、痛みを伴い、炎症を引き起こすケースもあるのがデメリットとなります。レーザートーニングは多くのタイプのシミに効果的です。他のレーザー治療では、肝斑の症状が悪化する場合もあるため注意が必要ですが、レーザートーニングで使用するメラノサイトC6というレーザーは肝斑にも効果を発揮します。また、治療を繰り返すことでくすみや毛穴の開きといった肌トラブルを改善する効果もあるため、透明感のある肌に近づけるのもポイントです。IPLフォトフェイシャルIPLフォトフェイシャルは肌の表面に働きかけ、ターンオーバーを促してメラニン色素の排出を促す治療です。レーザー治療よりも肌への負担が少ないのがメリットであり、そばかす、老人性色素斑などに効果的です。しかし、IPLフォトフェイシャルはすぐに効果を実感できるわけではありません。ターンオーバーを促しながら自然にメラニン色素が排出されるのを待つため、シミが目立たなくなるには時間を要します。また、濃い頑固なシミはIPLフォトフェイシャルだけでは改善せず、最終的にレーザートーニングを行うケースも少なくありません。薬物療法シミのタイプによっては薬による治療が効果的な場合があります。特に、老人性色素斑、肝斑、そばかす、炎症後色素沈着といった、紫外線などの刺激でメラノサイトが活性化することが原因となるシミに効果的です。具体的には、以下のような薬が使用されます。ビタミンC(飲み薬)メラニン色素を産生するのに必要な酵素の働きを抑える効果があります。メラニン色素の産生量が抑えられるため、シミをできにくくします。また、抗酸化作用や還元作用を持ち、既にできてしまったシミを薄くする効果も期待できます。トラネキサム酸(飲み薬)メラノサイトの活性化に必要なプロスタグランジンやプラスミンなどの物質の働きを抑える効果があります。過剰なメラニン色素の産生を抑え、シミを防ぐ効果が期待できます。厚生労働省からもシミを防ぐ美白効果を持つと認められている薬です。しかし、トラネキサム酸は肝斑やそばかすにはよく効きますが、老人性色素斑などには効果が薄い場合もあります。ハイドロキノン(塗り薬)メラノサイトを活性化するために必要な酵素を抑えてシミをできにくくする薬です。また、既にできてしまったシミを薄くする効果もあり、「肌の漂白剤」と呼ばれることもあります。肝斑、老人性色素斑、炎症性色素沈着などのシミに効果的ですが、そばかすや色素異常によるシミには効きにくいとされています。ただし、ハイドロキノンは肌への刺激も強いため注意が必要です。肌質に合っていない高濃度のハイドロキノンを使用すると肌に炎症が生じて、シミの原因になることも少なくありません。レチノイン酸(塗り薬)ビタミンAの誘導体であり、肌に溜まったメラニン色素の排出を促す効果があります。具体的には、肌の新陳代謝を高めて奥から新しい細胞ができていくのを促し、シミを浮かび上がらせて追い出していくのです。本来はニキビの治療薬として使用されますが、美白効果もあるとしてシミの治療にも用いられています。老人性色素斑、そばかす、炎症後色素沈着には短期間で効果を示しますが、肝斑を目立ちにくくするには時間がかかります。顔のシミを予防する方法はある?治療をしてシミを消しても、誤ったスキンケアをしたり紫外線対策を怠ったりすると、また別のシミができてしまうことがあります。一度目立たなくなったら安心というわけではないのです。顔のシミを予防するには、以下のような対策を行いましょう。紫外線対策の徹底多くのタイプのシミは、紫外線の刺激によってメラノサイトが活性化することで引き起こされます。そのため、顔のシミを予防するには紫外線対策を徹底することが大切です。紫外線の量が多くなるのは春から秋にかけての時期です。もちろん、秋から冬の時期も紫外線は降り注いでいます。日差しが強い真夏だけ紫外線対策をしている方は注意が必要です。どの季節でも、日中に外出するときは紫外線対策をしましょう。また、紫外線は晴れた日だけではなく、雨や曇りの日にも降り注いでいます。日差しが強くないから…と油断していると、多くの紫外線を浴びてしまうこともあるので注意してください。紫外線対策には次のような方法がおすすめです。日焼け止め日焼け止めは紫外線をカットして肌を守ってくれる効果があります。日中に外出するときは、季節や天候によらず日焼け止めを使用しましょう。特に、頬、鼻、おでこ、フェイスラインなど出っ張ったパーツは紫外線を浴びやすい部位です。塗りムラがないように丁寧に細かい部分まで塗りましょう。髪の毛の生え際、小鼻や目の周りなどは塗りムラが生じやすいため、顔全体に使用した後にチェックするとよいでしょう。基本的には、洗顔後に化粧水などで肌を整えた後に日焼け止めを使用し、化粧下地とファンデーションをつけるという順番です。屋外で活動する場合は汗で日焼け止めが落ちやすいため、2~3時間おきに化粧の上から日焼け止めを塗り直しましょう。帽子やサングラス紫外線のブロックには、帽子やサングラスなどのアイテムもおすすめです。特に日差しが強い夏は、日焼け止めだけでは紫外線をブロックし切れない可能性があります。顔に影ができるような、つばが広めの帽子を使用しましょう。また、紫外線カット機能がある日傘は体感気温を下げる効果もあるため、暑い屋外での活動中におすすめのアイテムです。活動シーンによって使用できるアイテムは異なりますが、それぞれのシーンに合わせたアイテムを活用してください。正しいスキンケア誤ったスキンケアは肌にダメージを与えます。肌へのダメージはメラノサイトの活性化を引き起こし、シミの原因になることも少なくありません。シミをできにくくするスキンケアのポイントを見てみましょう。保湿ケアを徹底する乾燥は、肌のバリア機能を担う角質に大きなダメージを与えます。バリア機能が損なわれた肌はさまざまな刺激を受けやすくなり、シミができやすい状態になります。乾燥を防ぐには保湿を重視したスキンケアが重要です。ヒアルロン酸やセラミドなどの保湿成分がたっぷり含まれたスキンケア用品を選びましょう。洗顔後は特に肌が乾燥しやすくなっています。化粧水で十分に水分を補給したら、水分が蒸発しないように油分のある乳液やクリームでパッキングするのがポイントです。目の周りなど乾燥しやすいパーツは、専用のアイクリームや美容液でスペシャルケアをするのもよいでしょう。肌への摩擦を避ける肌への過度な摩擦はメラノサイト活性化を引き起こします。スキンケアをするときは、力を入れて擦らず、指の腹で優しく撫でるよう心掛けましょう。特にクレンジングや洗顔では、汚れを落とすために肌を擦りがちになります。クレンジングはメイク汚れがしっかり浮き上がって落とせるものを選ぶのがポイントです。また、洗顔料はよく泡立ててから肌に乗せると、余計な摩擦を避けることができます。肌質に合ったアイテムを選ぶ化粧水や乳液などのスキンケア用品は、自分の肌質に合ったものを選ぶのがポイントです。口コミや謳い文句だけ見て使用するのは危険です。どんなに良い成分が含まれているアイテムでも、使用したときに刺激を感じるものはメラノサイトを活性化させてしまう可能性があります。新しいスキンケア用品を使用するときは、顎の下など目立ちにくい部位に少量使用して、刺激を感じないかチェックしましょう。生活習慣を整える肌のターンオーバーを整えてメラニン色素を排出しやすくするには、生活習慣を整えることも大切です。具体的には、睡眠不足、ストレス、食生活の乱れ、喫煙、過度な飲酒、運動不足などに注意が必要です。肌のターンオーバーを乱す原因になります。また、紫外線を浴びると生じる活性酸素は、肌に光老化という現象を引き起こします。光老化は、真皮のコラーゲンやエラスチンなどの線維にダメージを与えて肌の弾力を低下させる現象です。光老化が生じた肌は厚くなってシワができやすくなるだけでなく、シミも目立つようになります。紫外線による活性酸素を抑えるには、抗酸化作用がある果物、緑黄色野菜、大豆製品などの食品を多く摂るのもおすすめです。毎日の食事に取り入れてみましょう。まとめシミは顔の印象を大きく変える肌トラブルの一つです。シミには多くのタイプがあり、遺伝的な要因がある肝斑や生まれつきの色素異常などもあります。しかし、紫外線のダメージ、生活習慣の乱れ、誤ったスキンケア、ホルモンバランスの乱れなどが要因となっているケースも多く、対策を講じることでシミができにくい肌にすることが可能です。既にできてしまったシミは、セルフケアだけでは解決しないことも少なくありません。どんどん濃くなってしまうこともあるため、シミが気になったときは適切な治療を受けることも大切です。頑固なシミも、適切な治療を受ければ消える可能性があります。セルフケアではどうにもならないシミに悩んだら、まずは美容クリニックなどを受診して相談してみましょう。