肌の透明感やハリに影響するターンオーバー。肌のターンオーバーが乱れる原因はさまざまで、その周期は早すぎても遅すぎてもよくありません。本記事ではターンオーバーの仕組みと周期が乱れる原因、改善方法について詳しく解説します。ターンオーバーを正常に整えることは美肌の第一歩。メカニズムや改善方法を知っておきましょう。目次ターンオーバーとは私達の皮膚は日々生まれ変わっています。この皮膚細胞が生まれ変わる過程を「ターンオーバー」といいます。ターンオーバーが正常に行われていると、肌は新しく、健康的に保たれますが、何らかの原因でターンオーバーが乱れると、肌荒れや乾燥、シミなどの原因となることがあります。肌の構造肌の構造は表面から順に表皮、真皮、皮下組織の3層から成り立っています。ターンオーバーは主に表皮で行われます。表皮はさらに、角質層、顆粒層、有棘層、基底層という4つの層に分かれており、ターンオーバーは基底層で新しい細胞が作り出されることから始まります。ターンオーバーの仕組み基底層で作られた新しい細胞は、次第に上層へと移動しながら成長し、やがて角質層に達します。この過程で、細胞はフラットになり、ケラチンというタンパク質を多く含むようになり、最終的に角質(アカ)となってはがれ落ちます。ターンオーバーの周期ターンオーバーの周期は通常28日程度ですが、年齢や生活習慣、環境によって変動します。一般的に20代で28日、30~40代になるとその1.5~2倍ほどになるといわれています。この周期が長くなるほど古い細胞がたまりやすくなり、肌のキメやツヤが減っていきます。年齢を重ねるとともに「傷が治りにくい」「痕が残りやすい」などと感じるようになるのは、肌の新陳代謝が遅くなっているためです。また、ターンオーバーが早すぎるのも問題です。ピーリングのやりすぎや過度な洗浄によって、ターンオーバーの周期を早めすぎてしまうことで、肌の細胞が十分に成熟する前に角質がはがれてしまい、バリア機能が低下します。その結果、乾燥や敏感肌、赤みやかゆみが引き起こされることがあるのです。また、新しい肌細胞が未熟な状態で表面に現れるため、炎症やニキビ、シミなどのトラブルも起こりやすくなります。ターンオーバーが乱れる原因年齢とともに新陳代謝が衰え、ターンオーバーの周期が長くなっていきますが、ターンオーバーが乱れる原因はそれだけではありません。紫外線や乾燥、生活習慣によっても影響を受けます。紫外線紫外線を浴びると、最初に皮膚の表皮の細胞に炎症が起こります。その結果、ダメージを早く回復させようとしてターンオーバーの周期は早くなり、下層の細胞が未成熟なまま角質層に到達するため、本来持っているバリア機能や保湿機能が発揮できなくなります。なお、紫外線は、皮膚の表面にダメージを与えるだけでなく、皮膚内部の細胞にまで影響を及ぼします。紫外線は皮膚内部のコラーゲンとエラスチンを破壊するため、皮膚の弾力性を低下させてしまうのです。乾燥肌の表面には、角質層というバリアがあり、水分を保持して外的刺激から守っていますが、乾燥が進むとこのバリア機能が低下します。このようにして肌の水分が蒸発していくと、ターンオーバーが正常に行われなくなります。乾燥が続くと、外的刺激から肌の内部を守ろうとターンオーバーのサイクルが早くなります。その結果、本来なら角質細胞に備わっている天然保湿因子が十分に作り出されず、肌がさらに乾燥するほか、ざらつきや荒れた状態が目立つようになります。また、バリア機能が低下しているため、外部刺激にも敏感に反応し、肌トラブルを引き起こしやすくなるでしょう。間違ったスキンケア間違ったスキンケアも、肌のターンオーバーを乱す原因です。過剰な洗顔や強いクレンジングは、自然な保護バリアである皮脂膜を破壊し、乾燥や炎症を引き起こします。これにより、肌のターンオーバーが早くなり、未成熟な角質細胞が作られることで肌荒れを引き起こしやすくなります。特にゴシゴシこするような洗顔や、アルコールが多く含まれている化粧品は、肌に負担をかけることにも。また、保湿不足は乾燥を引き起こすほか、逆に過度な保湿は毛穴を詰まらせることで、肌のサイクルを乱すことがあります。生活習慣の乱れ睡眠不足や不規則な生活は、肌の新陳代謝に大きな影響を与えます。睡眠中に分泌される成長ホルモンは、肌の修復や再生を促進するため、十分な睡眠がとれないとターンオーバーが正常に行われません。ストレスや過労もホルモンのバランスを乱すことから、肌の回復力を低下させる要因になります。また、食生活も肌の状態に影響します。栄養が偏ったり、足りない栄養素があったりすると、肌のターンオーバーを遅らせることにも。さらに、喫煙や過度の飲酒なども、血流が悪化し栄養が肌に供給されなくなることから、肌の状態を悪くする可能性があります。ターンオーバーを正常化するには健康で美しい肌を維持するためには、ターンオーバーを正常化することが大切です。ターンオーバーを正常化するには、日常のケアや生活習慣の見直し、紫外線対策などいくつかのアプローチが必要となります。紫外線対策紫外線予防の基本は日焼け止めを使用することです。十分な量を塗布するだけでなく、時間が経ったら塗り直しましょう。帽子の着用、日傘の使用、長袖の服の着用などにより、直接的に紫外線が肌に当たらないようにするのもよいでしょう。紫外線量の多い時間帯(10:00~16:00)の外出を避けるのも効果的です。これらの予防を徹底することで、紫外線によるダメージを防いでターンオーバーを正常化し、健康的な肌を保つことができます。正しいスキンケアターンオーバーを正常化するためには、正しいスキンケアが欠かせません。過剰な洗顔や肌負担の強いクレンジングは、肌にダメージを与えてしまうので避けましょう。スキンケアの手順として、まずよく泡立てた洗顔料で朝晩優しく洗顔し、肌の汚れを取り除きます。洗顔後は化粧水や乳液を顔全体に塗布し、乾燥させない状態をキープしましょう。乾燥はターンオーバーのサイクルを早めてしまいますので、肌に必要な水分と油分を補い、バリア機能を保つことが大切です。さらに角質ケアも重要です。自宅で行う場合は、肌質によって月に1回~週に1回程度、ピーリングなどで古い角質を取り除くと、正常なターンオーバーをサポートすることができます。ただし、強い摩擦やピーリングのやりすぎは刺激となり、逆効果なので注意しましょう。 生活習慣の改善肌に影響の大きい生活習慣は睡眠とストレスです。まず、睡眠は7~8時間程度の十分な睡眠をとることが大切です。睡眠中に肌の修復や再生を促す成長ホルモンが分泌されるため、規則正しい睡眠を確保することはターンオーバーの改善につながります。また、ストレスはホルモンバランスを乱し、ターンオーバーを悪化させる原因となるため、運動やリラックスできる習慣を取り入れて、ストレスを軽減するように工夫することが大切です。さらに喫煙は、コラーゲンの生成を抑制して、皮膚の血行も悪くすることが知られています。そのため、禁煙することで肌のツヤやハリをより得ることができます。運動習慣運動習慣は、ターンオーバーを正常化するためにとても重要です。適度な運動をすることで血液循環が促進され、栄養成分や酸素が肌へ適切に届けられるので、ターンオーバーのサイクルをサポートすることができます。特に有酸素運動は、心拍数が上がり、体全体の血流が改善され、肌の新陳代謝が活性化します。そして、運動にはストレス解消効果もあります。ストレスは前述のとおり、ホルモンバランスを乱し、肌の健康に悪影響を及ぼすことがあります。運動を習慣化することでストレスホルモンの分泌が減少し、肌のターンオーバーもスムーズに保たれます。また、運動による発汗により毛穴の詰まりを防ぎ、老廃物の排出を助けることも大切です。ウォーキングやジョギングのほかに、家でできるストレッチやヨガなどは、比較的取り組みやすいでしょう。食生活で取り入れたいもの健康な肌づくりに食生活は大きく影響するため、毎日の食事でターンオーバーをサポートする栄養素を欠かさないことが大切です。まず、肌の健康にはビタミンAが大きく関係しています。ビタミンAは皮膚細胞の新陳代謝を促進し、健康な皮膚を作る役割があります。ビタミンAはレバーやにんじん、ほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれています。次に、ビタミンCもコラーゲンの生成を助ける役割を果たします。コラーゲン生成は、正常なターンオーバーのために必要不可欠な要素です。ビタミンCは柑橘類、パプリカ、キウイなどに多く含まれます。また、亜鉛も肌のために欠かせないミネラルです。亜鉛は細胞破壊から修復と再生にも関わっており、不足すると肌荒れやニキビの一因となります。亜鉛は肉類や魚介類、ナッツなどに多く含まれています。これらの栄養素を積極的に食事から補給するとともに、バランスが取れた食生活を心がけることで、健やかな肌を保つことができます。美容クリニックでできることターンオーバーを正常化するために、美容クリニックではさまざまな治療法が提供されています。美容クリニックでの施術は専門性のある医師の指導により行われ、患者それぞれの肌質や悩みに適した施術法を提案できることから、効率的なターンオーバーの正常化と健康的な肌づくりの手助けになります。ターンオーバーを正常化させるのに有効な施術はさまざまな種類がありますが、組み合わせて行うことでより効果を感じやすいため、よく相談して決めることが大切です。レーザートーニング・IPLフォトフェイシャルターンオーバーを促進し、肌の改善を目指す治療法として、レーザートーニングを使ったレーザー治療や、IPL:インテンス・パルス・ライトを使った光治療であるIPLフォトフェイシャルが人気です。レーザートーニングは、低出力のレーザーを使用して肌の深層に働きかけ、メラニンを分解する効果があります。これにより、色素沈着やシミ、くすみを改善し、ターンオーバーを促進します。レーザーの刺激により、コラーゲンの生成も促進され、肌のハリや弾力もアップします。一方、IPLフォトフェイシャルは広範囲の波長を持つ光を肌に照射することで、色素沈着や血行不良を改善します。IPLフォトフェイシャルは、シミやそばかす、赤ら顔の改善に効果的で、ターンオーバーを正常化させる働きもあります。光が肌に届くことで、古い角質が排出され、新しい細胞が生まれやすくなります。ピーリングピーリングは、古い角質を取り除き、肌の再生を促すことでターンオーバーを活性化させます。これにより、肌のくすみやざらつきが改善され、明るく滑らかな肌へと導かれます。美容クリニックで行うピーリングにはいくつかの種類があります。ケミカルピーリングは、専用の薬剤を使用して角質を剥離し、肌のターンオーバーを促進するものです。グリコール酸やサリチル酸などの成分が使われ、肌の深層まで作用するため、シミやニキビ跡にも効果があります。また、マイクロピーリングは、微細な研磨剤を使って肌表面を滑らかに整える方法で、肌の質感が改善されます。ダーマペンダーマペンは、微細な針を使って肌に微小な穴を開け、肌の自然治癒力を引き出す治療法です。この微細な傷が刺激となり、コラーゲンやエラスチンの生成が促進され、ターンオーバーが活性化します。これにより、肌の再生が早まり、シワやたるみ、ニキビ跡、毛穴の開きなどの改善が期待できます。ハイドラジェントルハイドラジェントルはウォーターピーリングとも呼ばれ、専用の機器を使用して水流で肌の汚れや古い角質を優しく取り除きます。その後、保湿成分や美容成分を肌に浸透させ、ターンオーバーを正常に保つサポートをします。これにより、肌の新陳代謝が促進され、シミやくすみ、毛穴の開きなどが改善されることが期待できます。ハイドラジェントルは、従来のピーリングに比べて肌への負担が少なく、痛みもほとんどありません。エレクトロポレーション肌に微弱な電流を流すことで、細胞膜に一時的に小さな穴を開け、そこから美容成分を深層まで浸透させる技術です。通常のスキンケアでは浸透しにくい成分も、エレクトロポレーションを使うことで効果的に届けることができます。まとめターンオーバーが正常に行われていると、肌は新しく、健康的に保たれますが、なんらかの原因でターンオーバーが乱れると、肌荒れや乾燥、シミなどの原因となることがあります。ターンオーバーは年齢とともに遅くなりますが、過剰な角質ケアなどで早めすぎてしまうと、細胞が未熟なまま表面に出てくることから、肌トラブルの原因になります。美容クリニックでの施術は専門の医師の指導により行われ、それぞれの肌質や悩みに適した施術法を提案できます。効率的にターンオーバーを正常化するため、健康的な肌づくりの手助けになるでしょう。 参考文献日本皮膚科学会 ケミカルピーリングhttps://www.dermatol.or.jp/qa/qa25/q04.html藤田医科大学 皮膚から老化細胞が排除されるメカニズムを解明https://www.fujita-hu.ac.jp/news/j93sdv000000atmf.html