ピーリングにはさまざまな効果やメリットがあるものの、注意しなければならない点もあります。そこで今回は、ピーリングの効果を最大限に得るためにも知っておきたい、ピーリングのメリットや注意点、ピーリング施術を受けた後の過ごし方などについてご説明します。ピーリングとはピーリングは、薬剤の力を利用して肌の表面にある古い角質を除去し、肌のターンオーバーを促進する治療法です。ピール(peel)は「皮をむく」という意味の言葉で、野菜の外側の皮をむくと、きれいな面が出てくるイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。 ピーリングの目的と施術がおすすめの人ピーリングの目的として、汚れを除去して肌のターンオーバーを活性化させることにより、肌の弾力の復活やお肌のトーンアップなどが期待できます。次のような肌トラブルでお悩みの方におすすめです。・ニキビやニキビ跡(赤みや色素沈着など)が気になる方・シミ、くすみが気になる方・シワ、たるみ、毛穴の詰まりが気になる方 ピーリングの4つの効果ピーリング施術を受けると、さまざまな効果を得られます。まずは、ピーリングによって期待できる主な効果からご紹介します。 ニキビとニキビ跡の改善ニキビは、毛穴の中に過剰に分泌された皮脂や古くなった角質がたまり、毛穴を詰まらせることで生じる肌トラブルです。皮脂や古い角質がたまった毛穴の中ではアクネ菌などが増殖するため、放置しておくと、炎症を起こして赤く腫れる赤ニキビや、炎症がさらに進んで膿がたまる黄色ニキビにまで進行するおそれがあります。また、炎症によってダメージを受けた組織は、黒ずみや赤みなどの色素沈着、クレータ状のへこみといったニキビ跡となります。ピーリングは、ニキビの原因となる古い角質を除去できるため、毛穴の詰まりを除去し、ニキビを改善します。また、ピーリングには角質を除去するだけでなく、ターンオーバーを促進させる効果もあります。そのため、ピーリング後は肌のターンオーバーが活性化され、ニキビの炎症によって生じた色素沈着の跡やへこみなども改善されていきます。 シミやそばかすの改善ピーリングはシミやそばかすの改善にも効果的です。シミやそばかすは、メラニンと呼ばれる色素が肌に沈着することで生じます。メラニンは、紫外線から肌を守るために分泌されますが、役目を終えると、肌のターンオーバーに合わせて外に排出されます。しかし、メラニンが過剰に分泌されたり、なんらかの理由でターンオーバーのサイクルが乱れたりすると、メラニンの排出が阻害され、肌の内部に蓄積します。これがシミやそばかすです。ピーリングでは、肌の表面にある古い角質を除去し、肌のターンオーバーを促進します。ターンオーバーが活性化すると、古い角質とともに肌の内側に蓄積されたメラニンも排出されるため、ピーリングはシミやそばかすの改善にも効果を発揮するのです。 シワやたるみの改善肌の表面にある表皮は、外側から「角質層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の4つの層が重なってできています。新たな細胞が作られるのは、基底層と呼ばれる表皮のもっとも下の層です。新しく作られた細胞は、徐々に肌の表面に押し上げられ、肌の表面の角質は剥がれ落ちます。この表皮の細胞が新陳代謝によって入れ替わる仕組みをターンオーバーといいます。肌のターンオーバーは、部位によって周期が異なるものの、顔については約28日の周期でターンオーバーを繰り返すとされています。年齢とともにターンオーバーの周期が長くなると、古い角質が残るため肌がくすみやすくなり、水分を保持しにくくなるため、シワやたるみを招きやすくなるのです。ピーリングでは、肌の表面に蓄積した古い角質を薬剤の力で剥がし、肌のターンオーバーを促進することで、シワやたるみを改善します。また、肌の弾力維持に関わるコラーゲンやエラスチンの生成を活性化させる効果を持つ薬剤を使用すると、さらにシワやたるみの改善効果を得られます。 毛穴の黒ずみの改善毛穴の黒ずみは、過剰に分泌された皮脂や古くなった角質が毛穴に詰まり、空気に触れた皮脂が酸化することで生じます。また、紫外線のダメージや誤ったスキンケアなどによる刺激が原因となって毛穴周辺の皮膚に炎症が起こり、メラニンが生成されることで色素が沈着し、毛穴が黒ずんで見える場合もあります。ピーリングでは、古い角質を除去し、毛穴の詰まりを改善するため、皮脂の酸化による毛穴の黒ずみも改善できます。さらに、肌のターンオーバーを促進することで、色素沈着によって生じた毛穴の黒ずみの改善効果もあります。また、ピーリングによって毛穴の汚れを除去し、肌のターンオーバーが活性化されると、毛穴が引き締まり、毛穴周辺の肌のハリを回復できます。これにより、毛穴の開きが目立たなくなる効果も得られるでしょう。 ピーリングのメリットご紹介してきたように、ピーリングには、ニキビ・ニキビ跡の改善効果、シミやそばかすの改善効果、シワやたるみの改善効果、毛穴の黒ずみの改善効果の4つの効果があります。また、ほとんど痛みを感じることがなく、同時に複数の効果を得られる点、ダウンタイムが短い点もピーリングのメリットです。 痛みが少ない肌の表面にある角質を除去することから、ピーリングには痛みが伴うのではないかと思う方も多いかもしれません。確かに、ピーリングはまったく刺激のない施術ではなく、多少の痛みを伴う施術ではあります。薬剤で角質を剥離するため、わずかに肌が突っ張るような感覚やピリピリとした感覚が生じるケースが多いです。しかし、ピーリングの施術において、我慢を強いるような強い痛みを感じることはほとんどありません。 同時に複数の効果を得られるニキビやニキビ跡、シミ、シワ、たるみ、毛穴の黒ずみといった複数のお悩みを一度の施術で改善できる点もピーリングのメリットです。ピーリングによって肌の表面に蓄積した古い角質を除去し、ターンオーバーを促進すると、色素沈着も改善され、毛穴が引き締まった凹凸の少ない肌を実現できます。また、コラーゲンやエラスチンなど、肌の弾力を保つ成分の生成も促進させるため、ハリのある健康的な肌に回復させることが可能です。 ダウンタイムが短いピーリングは、薬剤の力で古い角質を剥がす施術です。メスを入れたり、顔に傷をつけたりすることもないので、施術後のダウンタイムも非常に短くなっています。施術後に多少の赤みやほてりなどが生じる場合もありますが、ほとんどの場合は短期間で症状が落ち着くでしょう。そのため、ピーリング施術後は、当日からメイクや入浴をすることができます。ただし、ピーリング後の肌は非常に乾燥しやすい状態となっているため、ピーリング施術を受けてからしばらくは、スキンケアを丁寧に実施し、保湿を怠らないことが大切です。また、施術後の肌は、デリケートな状態となっているため、強く洗顔をしすぎたり、タオルでごしごしと拭いたりする行為は避け、できるだけ刺激を与えないようにしましょう。 ピーリングのデメリットと注意点さまざまな効果を期待できるピーリングですが、デメリットもあります。ピーリング施術を受ける際には、次の点に注意するようにしましょう。 肌の状態によっては施術を控えたほうがよいピーリング施術後の肌は一時的にバリア機能が弱まり、刺激を受けやすい状態となっています。そのため、以下に該当するような方は、ピーリング施術を控えたほうがよいケースがあります。・皮膚になんらかの炎症が起きている場合・アトピー性皮膚炎の方・配合成分に対するアレルギーがある方・ヘルペスができている方・皮膚に傷ができている方・トレチノインやハイドロキノンを使用している方・妊娠中の方、または妊娠の可能性がある方・授乳中の方・施術後に屋外での活動予定があり、紫外線を浴びる可能性がある方 また、病気療養中の方なども、ピーリング施術を受けられない場合があります。安全にピーリング施術を受けるためにも、不安がある場合には事前に医師に相談するようにしましょう。 ピーリングのやりすぎは肌へダメージを与えるピーリングを短い間隔で繰り返してしまうと、細胞の再生が間に合わないうちに、角質を除去することとなってしまいます。角質がたまっていない状態の肌にピーリングを行うと、薬剤が角質層の下にある組織にまで刺激を与え、痛みや炎症を起こすおそれがあります。ピーリングのやりすぎによって角質層が極端に薄くなってしまうといわゆる「ビニール肌」と呼ばれる状態になります。ビニール肌は医療用語ではなく、美容業界でよく使われる言葉で、ビニールのようにつやつやとして見える肌のことです。ビニール肌になると外部の刺激から肌を守ることができなくなり、乾燥もしやすくなります。また、かゆみを感じたり、乾燥が原因となるシワも生じたりしやすくなるでしょう。つまり、ピーリングのしすぎで角質層が薄くなりすぎると、新たな肌トラブルを招くおそれがあるのです。ピーリングは、古くなった角質が皮膚にたまった状態を改善する治療であり、角質がたまらない状態でピーリングを繰り返すと、かえって逆効果になってしまう点に注意しなければなりません。 効果が出るまでに複数回の施術が必要ピーリングは、1回の施術でも効果を感じることはできますが、十分な効果を得るには複数回の施術を受けることが必要です。適正なタイミングでピーリング施術を繰り返すことで、肌は徐々によい状態に近づいていきます。そのため、医師と相談しながら、適切なサイクルで施術を受けることが大切です。肌の一般的なターンオーバーサイクルは28日周期だとされています。そのため、トラスト美容クリニックでは4週間に1回の施術をおすすめしています。また、ピーリングを中止すると、再び肌の表面に古い角質がたまるおそれがあるため、効果を維持するためには、定期的にピーリング施術を受けることが大切です。当院では、よりよい効果を実感していただくために、5回以上の治療を推奨しています。 痛みを感じる場合もあるピーリングは、それほど強い痛みが生じない施術です。しかしながら、痛みの感じ方には個人差があるため、中には施術中に感じるピリピリとした痛みが気になる方もいらっしゃるかもしれません。最近では、刺激の少ない薬剤も登場しているため、痛みが気になる場合には施術前に医師に相談すると、刺激の少ない薬剤を使った治療や肌に負担のない濃度での治療を提案してもらえます。また、施術を受ける前にスクラブ入りの洗顔料で洗ったり、日焼けをしてしまったりすると痛みを感じやすくなるため、施術前の過ごし方にも注意するようにしましょう。 施術後に炎症が起きる場合もあるピーリング施術を受けてから2~3日は、肌は乾燥しやすい状態になります。また、刺激を受けやすい状態のため、赤みやほてりなどの症状が出る場合もあります。ただし多くの場合、細胞の再生が進むと、これらの症状は改善するため、症状が長引くケースはほとんどありません。赤みやほてりが出た場合には、刺激の少ない化粧水などを使って十分に保湿し、保冷剤などで冷やすと症状が軽減します。また、ニキビがある場合には、毛穴に詰まった皮脂や角質が除去されるため、一時的に赤みが生じたり、ニキビが悪化したように見えたりするケースもあります。しかし、ターンオーバー中の一時的な症状であるため、それほど心配する必要はありません。 施術後は保湿と紫外線対策が重要ピーリング後のお肌は、非常に乾燥しやすく、紫外線のダメージも受けやすい状態です。そのため、施術後はしっかりと保湿をし、日焼け止めクリームなどを使って日焼け対策も徹底しましょう。保湿を怠った場合、乾燥が進み、シワやたるみにつながるおそれもあります。また、せっかくピーリングでシミが薄くなっても、紫外線対策を十分に行わなかった場合、新たなシミが発生する可能性もあります。保湿と紫外線対策は、ピーリング施術後であるかどうかに関わらず、美しい肌を保つ上で必要なケアです。よい状態のお肌を維持するためにも日頃から保湿と紫外線対策は怠らないようにしましょう。 ピーリングの種類と効果の違いここまでピーリングについてのご説明をしてきましたが、ピーリングは施術を受ける場所によって使用する薬剤などに違いがあります。ここでは医療機関である美容クリニックで受けるピーリング施術、エステティックサロンで受けるピーリング施術、ご自身で行うセルフピーリングの3つに加えて、トラスト美容クリニックで行っているピーリング施術についてご説明します。 美容クリニックのピーリング美容クリニックでのピーリングの特徴は、さまざまな種類の薬剤を取り扱っている点です。肌の状態や肌質に合わせ、適した薬剤は変わってきます。医療機関では、一人ひとりの肌を診察した上で、適切な薬剤と濃度を判断し、安全な施術を行うことが可能です。医療機関では、アルファハイドロキシ酸(AHA)、トリクロロ酢酸(TCA)、グリコール酸などを配合した薬剤を使用するケースが多くなっています。また、角質の剥離を最小限に抑えてコラーゲンやエラスチンの生成を促進することを目的としたピーリングなど、複数のピーリング施術があり、お悩みや肌の状態に合わせたピーリング施術を選ぶことが可能です。また万が一、施術後に赤みや痛みなどの症状が見られた場合でも、医療機関だからこそ適切な処理ができます。さらに、医療機関では、市販のピーリング剤に比べて濃い濃度の薬剤を使用することができます。そのため、肌に負担をかけずに、より高い効果を期待できる点も美容クリニックで受けるピーリングのメリットです。 美容エステのピーリングエステティックサロンでもピーリング施術を行っているところがあります。しかし、エステティックサロンは医療機関ではないため、美容クリニックで取り扱えるような高濃度の薬剤を使うことはできません。美容クリニックでのピーリング施術は、医療行為に該当し、美容目的だけでなく、ニキビやニキビ跡、シミ、シワ、たるみ、毛穴の黒ずみなどの治療を目的として行われるものです。一方、美容エステのピーリング施術は、肌表面のごわつきを解消する、お化粧ののりをよくするといった肌のメンテナンスを目的に実施されます。そのため、美容エステで実施されるピーリング施術では、美容クリニックで受けるピーリング施術のような高い効果を期待することはできません。また、美容エステで使用しているピーリング剤の濃度は低いといっても、施術を受けすぎると、前述のようにビニール肌になってしまうおそれがあります。美容エステでピーリングを受ける際も、施術を受ける頻度には注意が必要です。 セルフケアのピーリングピーリングは自宅で行うこともできます。自宅で実施できるピーリング剤には主に「洗顔料タイプのもの」「スクラブ入りのもの」「塗るタイプのもの」の3つがあります。まず、洗顔料タイプのものは、肌表面に残る古い角質を柔らかくし、水で洗い流せるように低濃度のAHAなどが配合されています。また、スクラブ入りのものは、薬剤で角質を除去するのではなく、細かい粒子で肌の表面をこすり、物理的に古い角質を除去するものです。さらに、塗るタイプのピーリング剤には、AHAのほか、医療用のピーリング剤と同様、サリチル酸やグリコール酸などを配合した製品もあります。いずれのタイプであっても、安全性の面から市販のピーリング剤の濃度は低く設定されているため、美容クリニックで受けるピーリング施術に比べると効果は実感しにくいでしょう。 トラスト美容クリニックのピーリングトラスト美容クリニックでは、以下の3種類のピーリング施術を行っています。 ・ミラノリピールトリクロロ酢酸(TCA)やラクトビオン酸、サリチル酸、酒石酸、クエン酸などを配合した薬剤を使用するピーリングです。コラーゲンやエラスチンの生成を促進し、シミや赤みなどの改善のほか、肌全体のハリを回復させます。また、スクワランやビタミン、アルギニンなども含まれており、肌のシワやたるみなどが気になる方にもおすすめです。 ・マッサージピールトリクロロ酢酸や過酸化水素、コウジ酸などを配合した薬剤を塗布するピーリング施術です。トリクロロ酢酸による炎症を抑え、コラーゲンの生成を促進する過酸化水素水と、メラニンの生成や沈着を予防する効果を持つコウジ酸が配合されているため、肌表面を守りつつ、効果的にくすみを改善し、肌のハリを回復させることができます。 ・リバースピールリバースピールは、マッサージピールを改良したもので、これまで治療が難しいとされてきた肝斑を改善するピーリング施術です。肝斑の特性に合わせて3つのステップで薬剤を作用させることで、肝斑を効果的に改善します。 ピーリング効果を高める施術後のケアさまざまな効果を得られるピーリングですが、施術後には注意点もあります。効果を最大限に高めるために、施術後はケアをしっかり行うことが大切です。 日焼け対策を徹底するピーリング後の肌は、紫外線のダメージを受けやすい状態にあるため、日焼け対策を徹底的に行う必要があります。外出時だけでなく、家にいるときも日焼け止めを塗るようにしましょう。 保湿を徹底するピーリング後、肌は非常に乾燥しやすい状態となっています。刺激の少ない化粧水を肌に浸透させるように塗り、保湿クリームなどで肌の水分を閉じ込めるようにしましょう。 赤みが出たら冷やす施術後に赤みやヒリヒリ感が生じた場合には、保冷剤などを使って冷やすと症状を抑えられます。ただし、冷やし続けるのではなく、途中で間隔を開けながら、断続的に冷やすことが大切です。 ダウンタイム中のマッサージは控えるピーリングではほとんどダウンタイムはありませんが、ピーリング施術から数日経った後に皮がむけてくる場合があります。ターンオーバーが促進されている証拠ですが、肌の乾燥を防ぐために、施術後はしっかりと保湿を行ってください。あわせて、施術後の肌は敏感な状態になっているため、しばらくはマッサージなど、肌に刺激を与えるような行為は避けるようにしましょう。 まとめピーリングは、薬剤を塗布し、肌表面に蓄積した古い角質を除去することで、肌のターンオーバーを促進する治療です。ピーリングには、ニキビやニキビ跡、シミ、くすみ、シワ、たるみ、毛穴の詰まりなどさまざまな肌トラブルを改善する効果があります。1回の施術で多数の効果を得られる点は、ピーリングの大きなメリットです。しかしながら、ピーリングは肌の表面にある角質を除去するため、ピーリングの施術を受けた後は、肌のバリア機能が低下しています。そのため、ピーリングの効果を高めるためには、しっかりと保湿を行い、紫外線対策を徹底し、肌を外部の刺激から守ることが大切です。